もう会わないだろう人達へ


毎日最低な気分で過ごしている。勿論そうでない日も有難い事にあるしそれなりに元気に過ごしているけど、日々の殆どを占める労働の日々は相変わらずろくでもない事ばかりで、健気に着いて行っているつもりだが全身のあちこちに歪みが生じてキシキシ気分の悪い音を立てる。日銭を稼ぐのだから多少の苦労は当たり前だが、毎日毎日朝から目を擦り出社して、日付が変わる頃に家に着けばいい方で、そこまでしてこんな生活してて何なんだ俺は、という疑問譜は常に頭の上に浮かぶ。ああ、俺の様な無能に、職があるだけいいわな。給料日が過ぎていて、残高を確認して、しかしその時だけしか心が緩まないというのは。調子が悪い自転車だって週末まで直せずに我慢して乗って、そんなヨレヨレの蛇行運転で1週間が過ぎ、半年が過ぎ、何かもう暑い季節到来。愚痴ばかりでファック。
さてこんな日々であるからして、生来の面倒臭がりで怠惰の塊であるところの俺、こんなブログなんぞも放置も放置、返すべきメールやしなければならない事すらろくにやらない位なんだが、時折無性に文章を書き捨てたくなる事があるのでここはとりあえず残してある。今日もこんな時間に帰宅して、手垢塗れのくっさいハートを水道水でジャブジャブ洗って、その無性に文章を書き捨てる。少しでも多く寝ればいいとも思うが、ただ寝るだけで済まないのが人間様の面倒臭いところ。他人のなら相手によっちゃあ愛せるかも知れないが自分のこういうのは本当まあ、仕方がないなと苦笑うしかない。割と愛してる。
何だろうな、こんな日々、別に忙しさだけじゃないんだけど、色んな所に住んでいて、色んな時間を過ごしていて、そもそもが面倒臭い形で出来てるもんだから、そうそう人に好かれる事も無いんだけど、それでも偶然だったり意図的に求めたりで、出会う人々がいて、一方で消えてゆく人々がいて、登場人物を微妙に変えながら、長編漫画のこのくだらない人生は続いている。消えてゆく人々、それは理由は様々で、大概は自分の所為という事にしておくのが一番平穏だったりもするが、時機を逃したり、うまく噛みあえなかったり、互いに向かい過ぎて衝突したり、要するに合わないベくして合わず、離れていったのだろうけど、俺は時々あんたらを思い出すし、思い出すだけで、まあ俺とは噛みあわなかったけど、まあ互いにそれなりにやってようぜという位の事は思う。あんたの長編小説の中で、ほんのモブキャラとして、或いはそれなりの登場回数で、時には重要人物として、俺が登場していた時期があって、まあ今はそうじゃないんだけど、そこにはきっと別の登場人物が同じ様なニッチを担って出てきているんだろうし、まあ悪い役だとしても俺はそいつに任せるよ。俺の長編漫画に出てたあんたも、今は違う人がそこにいて、俺に愛されたり嫌われたりしながら、似た様な別の章を進めているんだよ。ほらもう何言ってるか解らないでしょう。
何が言いたいかっていうと、まあ何も言いたい事なんかないんだけど、そうだな、わざわざ回想シーンに無理矢理再登場させなくていいんだよ。俺はもうあんたの人生には関係ないんだ、名もなき通行人ですらない。俺もあんたやあんたやあんたの事、時々は思い出すかもしれないけど、ああ、大嫌いだったあんたの事とか、時には思い出すかもしれないけど、基本的にはもうどうでもいいし、俺の人生は俺が楽しく綴るよ。無理矢理引き擦り出して、変に美化し合ったり、わざわざ互いに憎みあう事はない。そうだよ、もう憎み合う事すらも無いんだよ。俺の中のあんたは、もう影も形もない、何処にももう存在自体がない。思い出しても感情も揺れない位、深いさよならを、どっかでしたんだよ。それが連絡先を捨てた時なのか、最後に連絡取った後なのか、最後にあった日の帰りの電車の中なのか、そんな事は解らないけど。ああ、またねじゃない、本当のさよならだ。
そして続いている俺の長編漫画の、過去に折り目を付けてたページは全部伸ばして、挟んでた栞も抜き捨てて、まあそれでも過去は読了済のページとしてヨレヨレになりながら、新しいページは続く。多分。死にたくないと思ってるから、多分もう少しは続くだろう。こんな人生だが割と愛してる。今の登場人物を大事にしたいと思ってる。気分はどうだい、イエーイ、ファック。
2012年7月24日深夜、赤貝