ジュビリー


浅草。1月も半ばだというのに初詣客なのか、いつもこうなのか、大勢のヒトでごった返す。
浅草寺で、元旦の初詣以来の御籤を引き直す。大吉。凶から大吉かあ、こんなでいいのかという気もするが、そんなもんなのかも知れないと思ったりもする。大体こういうの、上書きできるもんなのかどうかもよく知らないが、まあ信心のあるじゃなし、文言の読み取りに趣を見出すが吉。
暫く振りの浅草はあまり変わってなくて、大メジャーな観光地たる賑わいの傍ら、ひとつ路地に入ると下町ならではのハードコアな側面も見れて、写真散策としてはやはり面白い。曇天で、ちょっとばかし寒かったが、まあそれ以上は高望みというもんだろう。昼食に入った中華屋で、そこの中国人の小学生の息子に歓迎されたり、散策は予期せぬ展開が楽しい。
花やしき。ここなどは学生の時以来だから何年ぶりだろう。老朽化してゆく遊園地の趣を堪能。小さい子を連れた家族連れが沢山いて、意外と言っては悪いが結構繁盛してる印象。何処もかしこも古びていて、これは狙ってやったら出来ない事だったりするし、浅草のハードコアな面をちゃんと反映していて、広義だけど俺は好きな感じではあった。喜怒哀楽の何処にも落ち着かない、変な感情が疼く。
浅草からはアサヒビールの例のやつ、その向こうにはスカイツリーが見える。スカイツリーの下まで歩いてみようかと思ったが、巨大過ぎて遠近感が変だけど思ったより遠そうだし、寒いし落日したしで、とりあえずアサヒビールの下まで行って写真。あの塔、まだ上に100mとか伸びるらしい。今観ている風景、次にはまた変わっているのだろう。そんな事を断片的に思いながら、スカイツリーはそんな現在に対して象徴的にも思えた。吾妻橋から見る隅田川の落日。

そうそう、大吉引いて一つ勉強になった事があった。大吉なんてもうオール満点な事が書いてあるのかと思いきや、ひとつ、失物だけは”出ず”とあった。成程。欠くしたものにとらわれるなと。そうかも知れない。失ってしまったものはいつの間にか地図になって、新しい場所いざなってく。ってくるりの『ジュビリー』の歌詞だけど、あの部分、とてもいい。
時間はゆっくりと変化してゆく。今は未だ何処へ向かっているか解らないが、今思っている事を大事に胸に、なるべく丁寧に過ごしていきたい。残念ながらココロだけでは世の中、どうにもならない。しかし、そのココロがなければ、何をしたって何を成したって何の意味もない。だからせめてそう願うだけでも、己のココロに常に忠実でありたい。と思う帰りの中央線、阿呆の如く寝倒す。慌てて立川で降りて少しだけ買物。全て予定通りだ。
ジュビリー、喜びとは。赤貝