男の子と女の子


凄く気になる顔がある。一応、絵の話。
世間で言うところのお美人さん、かわい子ちゃんがどのあたりか、そりゃあ俺も否定はしない。蒼井優やパフュームなどは間違いなく生活に支障をきたすレベルで持ってかれるのがわかっているので、”この歳になって全力で嵌るのが嫌だから”という情けない理由(いわば戦ずして全面降伏)で、あえてあまり見ない様にしている位である。それはさておいて、さて少なくとも絵の話に限定すれば、描きたいと思う絵というのは曲がりなりにもオノレの価値観の表れであって、独自に煮詰めるべきものと思っている。その結果導き出される”こんな顔”には、いわゆる芸能人の煌びやかさはあまり要らない。何言うか、ただグッとくる顔が好きで、そういう顔を描きたいと切に思う次第。
すべからく”オンナノコ”というものは個人にとって常にセンセーショナルな存在である。どんな性格かとか、どんな見た目かとか、そういう”質”の話ではなくて、それがいるといないとでは視界がまるで違う。そこにいるだけで、どんな風景でも背景に成り下がる。”オンナノコ”とはすべからくそういうものなのだと、俺はどの面下げてか本気でそう思っている。流石にあまり人には言わないが。軌道修正、ともかく絵を描いて、”この人の描く女の子は何か凄いなあ”と思わせたら、俺の絵もそこそこなものだと思う。まだまだその域には程遠い。精進あるのみ。精進というか、より純化した助平心というか。ええ、うん。
少し前から、すごい気になっている顔がある。俺の人生では出会った事がない顔。顔の話ばかりしては彼女に失礼かもしれないが、彼女の顔はとても魅力的だ。いわゆる世間様の”美人”の規範からは外れた顔かもしれない。しかし実にグッとくる。価値観の破壊と再構築。ロキンロール、ニューオーダー。ほらもう何言ってるか解らないでしょう。ただそういう顔を描いてみたいというのが、机に座り白紙を前に日々思うところなのは間違いない。
屁理屈も薀蓄もどうでもいい粗製思考も、オンナノコの前ではまったく無力。だからオトコノコ、ロックンローラーになれよ。何の役にも立たないのに、頭の中を捏ね繰り回して、まったくしょうがない喧しい音楽を鳴らして、いつまで経っても足りないオノレの頭に聴かせ続けてくれ。ほらもう何言ってるか解らないでしょう。いつもごめんね。今日もごめんね。そりゃ別の曲だ。
寝る。赤貝