夢でさよなら


左手首が痛い。
もう1ヶ月くらい前だったか、もう少し前だったか忘れたんだが、自転車にて出勤中に業務用重量物運搬車に激突された時に、咄嗟に前に出し派手に突いてしまい、その時の主な怪我は突き指でそれはまあ大体治ったんだが、手首の鈍痛は残り現在に至る。この時は結構ショックだった。否、事故自体ではなくて、その少し前にちょいと心に引掻き傷を負ったのだが、まあそんな事は俺如きの人生ではよくある事だし、また暫くいじけてれば治るだろうと思って、さて当たり前に続く日常はそれとして過ごしていたし過ごせていたと思っていたのだが、その矢先に事故。業務用重量物運搬車の過失とはいえ、しかし長年自転車に乗っているが自動車との接触事故など初めてで、要するに俺はこの時、ひた隠しにしようとしていた先だっての心的ダメージが思いの外大きい事を知ってしまったのだ。少なくとも、そう思うに十分な出来事であった。派手に落ち込む事もなく、漠然と一人の時間にのみ沈む様に心がけていたつもりが、実のところ全て上の空だったという事実。ああ俺凹んでる。凹む心がまだあるという安堵があったのが、流石に情けなかった。何なの俺。
話を左手に戻す。左手の手首あたりの違和感というか痺れは、以前からあった。ここ数ヶ月で悪化してる感があって、まあ耐えられない程でもないので放置していた。当然、原因も不明。寝方が可笑しいのと、そこからくる肩こりが影響してるんじゃないかとは思ったが、それ以上追求する事も無かった。今回、事故して通院したついでに、医師に以前から変な痺れがあった事を告げるも、兎も角今の怪我が治らないと何ともいえないという、何ともいえない回答が来た。まあ本当に解らんのかも知れんし、実際大してプライオリティもないし。
左手首が痛いのは鬱陶しい。しかし、右利きだしギターも今や殆ど弾かないとあっては、実働で困る事は余り無い。強いて言えば、蕎麦を煮て寸胴鍋を持つ際に少し痛いのと、自転車に乗る時に若干気を使う程度。ジョッキより軽いものなら持っても問題ない。では問題ないではないか。こんな駄文でも書いてみるもんだ。否でも時々痛い。痛いのは嫌だ。慣れてしまうのはもっと嫌だ。痛みは信号だ。何を俺に知らせようというのだ俺自身。あの娘がキスしてくれたら痛みがなくなるな。何故なら俺の心臓は破裂するだろうから。ほらもう何言ってるか解らないでしょう。
ああそう、自転車はあれから買い換えた。あの娘が好きだって色の。今日作ったエンドウマメのスープと同じ色の。不自然に思う位の緑色。色は爽やかすぎて好みに外れるが、味はどうして意外と様々な要素が入り交じっていて舌に深い。ええと、何の話だっけ。つうかもう2時半だよ。さよなら僕のフューチャー。
赤貝