東京散策シリーズ;赤羽編







もう随分長い事東京に住んでいる訳だが、行く場所は自ずと決まっていて、実のところ知らない風景も多い。少しずつ東京散策をしていこうと思っていて、先日は赤羽に行ってきた。何故赤羽かと言えばあまり理由はない。前から何となく行ってみたかっただけ。さて新宿から埼京線に乗り継ぎ、初めて降りる。赤羽といえば中学生の頃から敬愛して止まないピーズの存在があるのだが、ピーズが纏うやさぐれ感や気怠さや諦念は確かにこの町が持っているものかもしれない。寒空の下歩く赤羽から十条にかけての道は、何処もくたびれて色褪せ錆付いていて、それでいてみっしり敷き詰めたかの様な密度で日常が転がっていた。

坂がちな地形らしく、迷路の様に網の目の様に血管の様に細い路地が複雑に絡み合っている。延々と続く住宅街。月並みな表現だが何処か懐かしい感じがした。若干曇り始めて、写真を撮るにはやや難ありな日だったが、あてずっぽに道を選んでぶらぶらするのは楽しかった。やがて何となく十条の商店街に辿り着く。そこには雑多な生活臭が凝縮していて、沢山の人が往来する。駅にして1駅歩いた事になる。そこそこ疲れた。くたびれた埼京線で新宿に戻った。





この散歩をしている途中で、携帯を落とした。途中で気付いて戻ってみたが見つからず、帰宅してから仕事用の携帯でかけてみると、拾ってくれた方が電話に出てくれた。美容院にお勤めの方だそうで、歩いてる途中に美容院なんかあったかなあと思い返しつつ、すぐに宅急便で送っていただける事になった。赤羽の懐に少し触れた様な気分で、とても嬉しい。嬉しいし俺はモノ落とし過ぎ。いい加減にする様に。2012年2月7日深夜、赤貝